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教科書を受けとり、翔はとりあえず安心したようにため息をついた。
……そんな不安なら端っから教科書買えっちゅーの
「じゃあ、そのうちいつか返すから」
「ちょ、いつかじゃなくて次の時間には返しなさいよ!」
「まぁ覚えてたらね~」
チャイムが鳴り、翔はひらひらと手を振って教室を出て行った
翔はいつかでよくても、あたしも数学の次は英語なんだからね
もう……
一年生のときは同じクラスだった翔は、今は別のクラス
文理選択でクラス替えがあり、私は文系の3組、翔は理系の1組に別れた
ちゃっかり頭もいいようで、理系のトップクラスに入っているというのが気に入らない
『実際私だって理系だったら、翔と同じクラスだったんだから!』
『はははっ馬鹿なじじいには無理だって』
『なんですって~?』
こんなやりとりを何回繰り返しただろう
元々女の子らしいとはいえないこの性格のせいで、翔は私のことをじじいと呼ぶ
確かに女の子らしくはないけど、ちょっと酷くない?
それでも翔をどうしても憎めないのは、
翔は私の好きな人だから
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