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「あ…7時。」
誰かがぽつりと呟くと、クラスメイト達が一斉に黒板上の時計を見た。
かたんっと小さな音を立てて、長沼が立ち上がると、クラスメイト達は蜘蛛の子を散らす様に、一斉に自身の机の脇へ立つ。
咲子も、大慌てでバイオリンをケースに収めると、長沼と共に教壇に立った。
「皆様ご機嫌よう。6年菊組の本日の清掃分担は、被服室、講堂、茶室、御手洗い、教室です。半には掃除を終え、一時間目の支度を始めてください。」
「三角巾と名札は、
忘れずに着用お願いします。」
長沼と咲子の言葉を聞いたクラスメイトは、「はーい」と大きく返事をしてぱたぱたと教室を後にする。
「さて、うちらも行こっか。」
「了解。で、長沼何処掃除にする?」
「…茶室かなぁ。」
アイロンの行き届いた真っ白な三角巾をきっちりと巻くと、バケツに雑巾を放りこみ、颯爽と部屋を出る。
梨園名物、早朝清掃。
先生が登校する前に、学校を磨きあげておくのもこの学校の規則の一つ。
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