13人が本棚に入れています
本棚に追加
結局、昨日はなかなか寝付けなかった。
寒いのと、出張寝フレがちらついて…。
ほんとに来るんじゃないか、来たらどうしよう、いきなり部屋に入ってきて襲われたら…
悶々と考えていたら、時計の針は2時を指していたのだ。
…やっぱりアホだ、私。てゆうか、住所なんて教えてないし。来ない来ない。
いきなり気持ちが軽くなって、いつもの通学路を軽快に歩いた。
「麻衣っ。おはよ~」
振り返ると、同じクラスの雪(18)が駆け寄ってきた。
「ユキ。おはよ。」
「朝は一段と寒くなったねぇ。」
「うん。やだね。」
ユキは少し大きめのセーターのポケットに手を入れて、私の隣に並んだ。
親友のユキ。明るくてにこやかで人なつこい彼女の周りにはいつも誰かがいる。
この子を嫌いな人はいないだろうと思うくらい、男子にも女子にも好かれている。
私もユキの笑顔が大好きだけど、羨ましくもあった。
「…で、なんだったの?昨日の誠一の話って。」
ユキは白い息をふうっと吐き出しながら聞いた。
.
最初のコメントを投稿しよう!