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職員室の青木先生の机には、束になったプリントがわかりやすく置かれていて、すぐに見つけることが出来た。
私はプリントを胸の前で抱きしめるように持ち、職員室を出ると2階に上がる階段に差し掛かった。
「わっ!」
「うわっ。」
上から下りてきた人とぶつかり、プリントを束ごと落とし、私の周りにバラまいてしまった。
…あーもう、めんどくさい。
「…すみません。」
ぶつかった男子生徒は、私を見ることなく、一言謝ってから、散らばったプリントを集めだした。
「あ、いや…。私もぼーっと歩いてたんで…。」
集めて整えたプリントをこちらに差し出され、私は同じように整えた自分の手に持っているそれに重ねた。
「ありがとう。」
「いえ。」
私とぶつかった男子生徒は、縁なし眼鏡をかけ、その上から、顔を隠すかのように長い前髪をおろしていた。
見ない顔だな。1年か2年かな…。そんなに長い前髪だとまたぶつかっちゃいますよ…。
などと考えている内に、正面に立っていた私をさっと避けて行った。
なんだあいつ。感じわるーい。
あ、いやぶつかったのは私か。
拾うの手伝ってくれたし。
うん、良い人…かな?
私は教室の前まで戻り、引き戸を開けると、すぐ目の前に青木先生が立っていて、ばっちり目が合った。
「おかえり。ありがとな。んじゃ、それ配って。」
…へーい。
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