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…ありえない。
ほんとに…きた。
はっきりと頭は覚醒しているのに、夢だと思いたくて、ベタだけど私はほっぺをぎゅっとつねった。
痛いにきまってる。
これは夢じゃない。
そんなの、わかりきってる。
『マイさん。
質問があるかもしれませんが、とりあえず注意事項を聞いて下さい。』
ガチャンッ。
私は受話器を乱暴に切ると、忍び足で玄関に向かった。
そっと物音をたてないように、覗き穴に近づき、片目を閉じた。
…そこには、見たことのない、知らない若い男がたっていた。
パっと見は私と同じくらいか、少し年上くらいだろうか。
今度はダダダダっと勢いよく戻り、受話器を取った。
「あなた誰!?どうしてここの住所知ってるの!?」
……。
あっ。
言ってしまってから気づいた。
私はマイで、ここが私の家だと肯定してしまったことに。
『…ご質問は注意事項の後でお願いします。ぼくを中に入れてくれればお答えいたします。
ですが、そうでない場合は一切お答えできません。どうやって居場所を知ったかは教えないし、それを誰かにもらすこともしません。』
…そんなこと言われても。
納得のいかない私は、とりあえず男の話を聞くため、渋々返事をした。
「……注意事項ってなんですか…。」
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