闘争

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「またかよ…」 裕哉は真っ赤な世界の中でそう呟いた ただ痛みがないのが不思議だ ドサッ 何か重いものが裕哉の上に落ちた 「なんだろう… 何が落ちてきたんだ?」 「ぶ、無事…ですか…?」 そこには背中からおびただしい程の血が流れていた 「なっ!?」 「よかった…裕哉殿、が、無事で…」 エレナは弱々しく笑い力なく倒れた 「はっ! 人間ごときの為に我が身を差し出すなど正気か!? わかっているか人間!お前がここにいなければエレナは死ぬことはなかった!」 ドクン― 「俺が―エレナを殺した?」 「そうだ貴様だ! 何の力もないくせにエレナといることは罪だ」 トールは腹を抱えて笑った (俺に力があれば――エレナを守れたのに) ドクン― (力が―力が欲しい 弱い俺じゃなくて―もっと強く―強く!) ドクン―ドクン―ドクン―ガキン! 裕哉の中でまるで鍵の開くような音とともに何かが流れこんできた 「…! 貴様!何をした!?」 トールは異変に気付き裕哉を見据えた 「何をした? 何もしていないさ …ただお前を倒すという覚悟以外はな」 ゴウッと裕哉の周りに風が渦巻き一瞬裕哉の姿が見えなくなり次に現れた時には赤い目と手に双剣が握られていた…
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