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パチパチ…弾ける音と共に何か燃えている
それは紅連に包まれた家だった
その光景を傍らから見ながら子供が泣いている
「嫌だよ…一人にしないで…」
その目はただ炎だけを写していた…
―少年は真っ暗な部屋で目をさました
外はもう夜のようだ
「ん…俺なんで寝てるんだ?」
少年はゆっくりと体を起こした
「ああそうか」
少年はまた倒れたのかと納得した
この少年はもう生きることに疲れていた
この少年―遠山裕哉は幼少の頃火事で家と両親を亡くしある一家に引き取られた。
しかしそこで待っていたのは学校でのいじめや暴力という地獄だった
そのいじめの原因は自分に記憶がないということだった
あの火事以前の記憶は全て消え自分が誰だかわからない有り様だった
それを理由によく馬鹿にされさらに自分を引き取ってくれた一家は事故に巻き込まれ亡くなりまた少年は天外孤独の身となった
少年はそんな地獄に耐えて生きてきたが体はその火事の後遺症かわからないがたまに倒れることがあるのだ
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