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エレナは走っていた
特に行く当てはないがあの家にいたのでは裕哉にまで危険にさらしてしまうからだ
「何か恩返しがしたかったのだが…」
エレナにはそれだけが心残りだった
せめて裕哉に危険が及ばぬようにエレナは息をきらしながら走った
そのスピードは疾風のような速さだった
しかし…
「やっと見つけたぜ エレナ!」
「! ハァ!」
エレナは後ろに振り向くと同時に手に持った剣でその敵に切りかかった
ガインッ
薄暗い広場に一瞬火花が散る
その男は手に持った剣でそれを受け止めた
「いきなりご挨拶だな、エレナ?」
「くっ 貴方はトールか!」
男はクックッと笑うとエレナの剣を弾き間合いをとり剣を構えなおした
「なぜ貴方が私を!?」
「なぜ? なぜとはつれないな 俺とお前の仲だろ?」
トールはそれだけ言うと間合いを詰め斬りかかった
ガン、ギンと剣の斬り合う音だけが辺りに響いていた
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