第三走者 tosh & いち仔 《ファンタジー》

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「誰かいますかぁ? ママさーん!?」  スナック斉藤の中は閑散としていて、ママさんから返事が返ってくることはなかった。  変だなぁ。誰もいないのかしら。  いつもなら、ママの声が真っ先に聞こえるのに……。 「おい、チミ!こっちの扉が開いている」  ニープレックスダミュアルの声がする方へ向かうと開かれたままになった扉があった。  中を覗き込んでも暗くて良く見えない。 「行ってみよう。チミが先頭で」  私の後ろに回り込みながら言うニープレックスダミュアルが憎らしく思えた。  私は、女の子なのに……。  恐る恐る足を踏み入れた。  だが、数歩歩いた所でふわっと浮く感じがする事に気づいた。 「きゃぁぁあーー!!」  違う、これ落ちてるんだぁー。 「チミ、お、もいんだよ。お、も、い」  え?  ふと後ろを振り向くと、ニープレックスダミュアルが私の服を掴み羽ばたいていた。 「し、失礼ね! 私はスレンダーなほうなのよ!」
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