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中庭に飛び出したマリアは、韋駄天の如くスピードで、咲き乱れる薔薇の間を駆けていた。
その風に揺らされた薔薇たちの花弁が、シャワーのように舞い落ちていく。
(うまく撒いてやったわ!あの七三デコ似非執事を!)
マリアは満足し、微笑みを浮かべる。
自分でも脱帽するほどの巧い策だった。
走る足に、より一層力が籠る。
マリアはその最中、中庭の様子を眺めた。
中庭は白い陶器で出来た噴水や花壇が置かれ、それに色とりどりの薔薇が添えられている。
その周りには小鳥や栗鼠といった、小さな生き物たちが戯れ、遊んでいた。
「呑気なものね……。」
マリアはため息混じりにそう呟いたのだった。
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