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中庭を越え、いよいよ外に通じる鉄格子の大きな門が見えてきた。
マリアはそれを視認すると、これから自分を待つ広大な世界を想像して胸踊らす。
いよいよだわ。
思わず口元が緩んでいた。
「ん……!?」
突如、マルーンはその鬼のような厳めしい顔を歪める。
そして黄色い眼をギョロリと動かし、身体中の筋肉が隆起させ立ち上がった。
「どうしたのマルーン?」
マリアは自分の肩の上に仁王立ちするマルーンを見る。
するとマルーンは全身の筋肉を強張らせ、翼をはためかせているではないか。
その姿は、まるで小さな悪魔【デーモン】のようであった。
「マリア、伏せろ!!」
マルーンの低い声が耳元に響いた。
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