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「マリア様~!マリア様~!何処におられるのですか~!」
マリアはその声に驚き、何かの棚の陰に急いで飛び込む。
そしてその棚の角から、声のする方向を覗いてみた。
どうやら執事のカミールがメイドを引き連れて、私を探しているらしい。
マリアはそう確信した。
(まったく面倒なものね。)
ため息をひとつ。
続けて目を閉じ、思う。
(だから王女なんて嫌なのよ……。)
心で呟きながら自分の足元を見る。
すると彼女の脚には、王女らしからぬ茶色のズボンと革のブーツが履かれていた。
その姿はまるで旅人のようであった。
(今日こそは……。)
執事カミールとメイドたちの捜索は、いよいよ人数が増え、マリアはもうひとつため息を落としたのだった。
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