始まり×終わり

2/35
前へ
/48ページ
次へ
「マリア様~!マリア様~!何処におられるのですか~!」 マリアはその声に驚き、何かの棚の陰に急いで飛び込む。 そしてその棚の角から、声のする方向を覗いてみた。 どうやら執事のカミールがメイドを引き連れて、私を探しているらしい。 マリアはそう確信した。 (まったく面倒なものね。) ため息をひとつ。 続けて目を閉じ、思う。 (だから王女なんて嫌なのよ……。) 心で呟きながら自分の足元を見る。 すると彼女の脚には、王女らしからぬ茶色のズボンと革のブーツが履かれていた。 その姿はまるで旅人のようであった。 (今日こそは……。) 執事カミールとメイドたちの捜索は、いよいよ人数が増え、マリアはもうひとつため息を落としたのだった。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加