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この状況のなか、カミールとメイドたちの目を盗んで脱出するのは至難の技である。
(なんとかして逃れられないかしら……。)
マリアは美しい金の長い髪を指に巻きつけ、思案する。
これはマリアが何かを考えるときに出る癖であったが、彼女の髪の香りを周囲に振り撒いていることには、彼女自身気がついていなかった。
(どうすれば……。)
小さく舌打ちした。
その時である。
突如、執事カミールがその眼鏡の縁を光らせながら振り返ったのは。
銀色の眼鏡から鋭い眼光が発せられている。
その視線はとても鋭かった。
マリアは身震いする。
棚を通して射抜かれたような視線を受けたからである。
(ちっくしょー!あの軍人上がりの似非執事め!こういうところはやたら鋭いのよね……!)
マリアの首筋を冷や汗が伝った。
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