始まり×終わり

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マリアは棚の陰から飛び出したーーー 筈だった。 だが、棚の陰から飛び出してきたのはマリアではなかった。 青いシャツに純白のエプロンをした女性、即ちメイドの一人だったのだ。 「むっ!?」 それを見たカミールの鉄仮面が初めて曇り、歪む。 (私が間違える訳が……。) もう一度、そのメイドを見る。 しかし、目の前にいる女性は確実にマリアではない。 マリア様が変身の魔法を使っているのか? 頭に浮かんだ最初の疑問がそれだった。 なのでカミールは、ずいと顔をメイドに近づける。 するとメイドは「何が起こったのですか?」そう言いたそうな表情を浮かべた後、顔を赤らめたのだった。 カミールは確信した。 そして思い切り振り返った。
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