二人

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      『涼介が、宏ちゃんのカタログに載ってたのを見たみたいなんだ』 「…………」 『涼介を返せって凄いみたい…』 待って。待ってよ…。なんで? なんで。薮、言ってた。 俺と暮らし始める時……親の許可も貰ったって……なのに、母さんが俺を返せなんてそんな理不尽な事を…? 「侑李」 『何?』 「それ、薮本人に聞いたの?確か?」 『うん…。宏ちゃんの仕事場に行った時、僕がたまたま電話してるの聞いちゃって…』 前には許可したのに、こんないきなり返せなんて言う…?ホントに…? 寧ろ、何かが…嘘…? 「侑李ゴメン、またかけ直すね」 『あ、ちょっ涼介!?』 俺は一方的に電話を切った。 「…薮!」 部屋を出てすぐに薮を探した。 寝室の扉は開いていて、薮は居ない。 「…………」 シャワー室から音がした。 なんだ…お風呂…か。 「…………?」 シャワーの音と被して…薮の声………。 電話…してる? 「っ……」 悪い、そんな事解りながらも俺は音を立てずに、扉に耳を当てた。 悪い事してる…盗み聞きなんて… 解ってるけど……… 「すぐに会員から始めてくれ」 会員…? 仕事の話し…かな? 「嗚呼。うん。それから、各地のも。出来るだろ?今年の…、5号目。え?違う、違う!新作のやつだよっ」  
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