二人

3/4
前へ
/33ページ
次へ
      「…………」 よかった…。 「はぁ……」 扉に背中をつけて床に座った。仕事の話しか…。まぁ、そうだよな…。 「涼介が載ってるやつ!だから!」 「っ!?」 嘘…でしょ?俺の名前…?なんで…? 「調べろよ!嗚呼…、もういい!今から行くから!」 薮の言葉に、俺は即座に立ち上がった。 そして、あたかも今来たかの様な距離に立った。 「…涼介?」 シャワーの音が止み、薮が出てきた。 髪も濡れていて上は何も着てない。 「どうした?」 さっきの雰囲気を感じさせない薮。 だから俺も、笑って見せた。 「お腹…空かないっ?作るよ?」 「嗚呼ゴメンな涼介…。俺、今からすぐに会社行かないと…」 「ご飯は?」 「いらない…ってか、今日は遅くなるから夜もいらねぇ」 薮はそれだけ言って、俺の頭を撫でてから自室に行った。 俺は薮の背中を見送った。 「………」 気になる…。 でも、薮が俺を仕事場に連れて行ってくれる訳ないだろうし… 「ねぇ、薮!」 「何ー?ってか、入っていーよ」 扉一枚越し。 中に入ると、薮はワイシャツに袖を通してる所だった。  
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

859人が本棚に入れています
本棚に追加