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「どした?」
「あの、さ…?」
扉を閉めて、寄り掛かった。
薮は視線を落としたまま。
「留守番…だよね」
「涼介?嗚呼、そうだね。…なんで?」
薮はボタンを閉めながら言った。
「寂しい…な」
少しだけ薮に近寄って外れたままの薮のワイシャツの袖を掴んだ。
「えっ…と…」
薮は、困ったように俺を見た。
「嬉しいけど…、俺はどうすればいいの?」
「一緒…行っちゃ…ダメだよね…?」
出来るだけ、可愛く言ってみた。
まぁ、こんなんじゃ意味ないとは思うんだけど……
「会社に?いいけど…暇じゃね?」
「え、」
案外、あっさりと承諾した薮。
俺が手を離すと、薮は袖のボタンをしめた。
「会社だぞ?この間の撮影スタジオとは全然違うんだぞ?」
「うぅ、うんっ…!薮と居れれば…」
「そうか?じゃあ早く用意しな」
俺は浅く頷いて、薮の部屋を出た。
「…………」
思ったよりあっさり了解されちゃった…
もう少し、拒まれると思ってたのに。まぁ、へたに拒む方が俺に怪しまれるって踏んだのかな?
薮ならそのくらい考えてそう…。
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