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授業は適当に受ける。
高校の授業なんて
何の役にたつのか。
昼食の時間になる。
「うし、パンでも買いに行くか」
そう言って田中は
立ち上がる。
「じゃんけんで負けた方のおごりな」
「本気か?」
「随分舐めてくれるな。いくらお前がじゃんけん強いからってそう何度も負け――」
今日はパン代が浮いた。
購買から意気揚々と帰っていると、人だかりを見つけた。
「こんなところに人だかり……」
と、くれば。
『椎名さーん、お願いだー。今日こそは昼食を――』
この時間になると決まってむさい男共が騒ぎだす。
なぜなら校内1の美少女とも言われる『椎名楓(しいなかえで)』の昼食相手となるためだ。
『すみません、先約がいるので』
丁重に断る。
『えー、誰だよー』
男共がしつこく問いただす。
しかし椎名楓は慣れているのかほとんど無視を決め込み、立ち去っていく。
「おい、晴登。あいつは狙わない方がいいぞ」
俺の目線の先に気がついたのか、田中が財布をしまいながら来た。
「狙ってねぇよ。だけどなんでだよ」
「噂では男がいるって話しだな。この前、男と歩いているとこが目撃されている」
「あんだけ可愛いんだ。彼氏の1人や2人いてもおかしくないな」
男なら誰だって一度は振り返ってしまうような美貌。
彼氏がいたとしても、あの男共が後を追いかけるのには十分な理由だった。
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