西施捧心

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―体を、何か温かいものに包まれているような感覚を感じた。 例えるなら正しく、布団で寝ているようなあの温かさ。 その「有り得ない温もり」に思わず動転し、私は無理やり目を抉じ開けた。 目の前には、見知らぬ天井。 慌てて体を起こせば、私は案の定布団に寝かされていた。 服装だって何故か違う。記憶が正確なら、確か私は制服を着ていた筈なのだ。 だが今は、アイスブルーという表現が合いそうな薄青の着物を着せられていた。 いつの間に着替えさせられたのだろう、見当が付かない。 というか、そもそも。 「…どこなんだ、ここは」 …そう呟いた声すら自分のものではないように聞こえた。
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