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「さっきより人が多くなってきたな……おい少し急ぐぞ」
国王リースとの約束通り、リジュを城へと連れ帰る道中で、フードを目深に被り前方が良く見えない彼女を出来る限り庇いながら歩いていたシギがぼやく。
「もうあと数時間で生誕祭が始まるんだもの、皆城の前の広場へと集まり出してるわ」
午後6時からの生誕祭迄あと3時間程。全国民が、初めて目にする自国の姫の姿を想像し、期待に胸を膨らませ、城の前へと急いでいる。
「王女ならここにいるのにな」
「ちょっと!!滅多な事言わないで」
シギの軽口に慌てたリジュがたしなめる。
暫く早足で歩き、純白の城壁が見えて来る頃には、二人とも息が上がり口数も少なくなっていた。
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