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「お前達……俺に盾突くなど、馬鹿な真似を」
光も差し込まず、じっとりとした湿気が嘲笑う狭い地下牢。
重苦しい闇と空気に包まれたそこに、両手足を鎖で拘束されたルーベクスが横たわる。
薄汚い土が剥き出しになった地面からは、不恰好な石達が所々に顔を出している。
ルーベクスの身体から流れ出た赤い液体が、そんな冷たい地面を覆っていた。
「俺達は貴様には屈しない。……この忌ま忌ましい眼も、貴様の物では無くなる」
厳重に武装した男の一人が口を開いた。
その両隣には同じ様な武装をした男が二人、鈍く光る剣先をルーベクスに向けている。
「ふっ……」
暫しの静寂の中、ルーベクスの鼻先から笑いが洩れた。
嘲笑うかの様なその空気に男達の顔が険しくなり、剣先がルーベクスへと近くなる。
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