ルーベクスの呪い

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怯まず剣先を睨みつけたまま口を開く。 「俺の両眼を奪えば、この世が平和になると? いや、あるいはこの力が手に入るとでも? 大方あの男の入れ知恵だろう……くだらん」 皮肉を含んだルーベクス言葉に、左側に立つ最年少らしき男の眉がぴくりと動いた。 「残念ながら、お前達がこの力の総てを手にする事は出来ん。……ただ、俺へのこれほどまでの無礼な仕打ち、礼の代わりに最高の贈物でもし……っ! がっ……ぁ…!!!!」 薄暗い地下牢内に、苦痛に満ちた叫びがこだます。  「黙れ……化け物」 先程眉を上げた男の剣が、ルーベクスの瞼の中へと入り込んでいく。  耐え難い絶叫は暫くの間止む事は無く、やがて静けさを取り戻した頃には、男の剣は地面へ無造作に投げ捨てられており、代わりに真っ赤に染まった怪しく光る二つの球体が、男の右手に収まっていた。
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