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恋占い。
まずシャープペンシルを用意します。
そして、自分の名前と好きな人の名前の数だけノックします。
その状態でハートを書いて、芯を折らずに使い切れたら、貴女の恋は叶うでしょう。
『……か。』
友人に、帰ったら絶対に試してみてね!と渡された小さな雑誌の切り抜きを見つめる。
「そんなに簡単に叶うのかな?
というか、……好きな人もいないしなぁ。」
誰もいない部屋で、一人呟く。
かといって、試してみなければ明日学校で散々な事を言われるのは目に見えている。
「ふう………。」
私は大きなため息を一つ吐いて、筆箱から赤いシャープペンシルを取り出した。
「まずは…自分の名前を」
カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ。
「次は……別に好きな人なんかいないもんなあ。
まぁ適当でいっか。」
カチカチカチカチカチカチカチカチ…
既に何回押したか分からないシャープペンシルの芯は結構長くなっていた。
ーえぇ、これ…こんな長いの、折らずに使い切れるかなぁ?
そう思いながら、普段より数倍長い芯でおそるおそるハートを書いてみると…
『……お、案外いけるかも!』
思ったよりも書きにくくはなかった。
不安定ではあるが、何とかハートを書ききる。
『よし。』
そのあとは芯を折らないように、塗りつぶしていけば良いと友人が話していたことを思い出す。
『わー、ポキっと折れちゃいそう。塗るって言ってもなあ。力の入れ加減が難しいよこれ……。』
ぶつぶつ呟きながらも、
細く柔らかい芯を折らぬよう細心の注意を払いながら、少しずつ、少しずつ、時間をかけてハートの中を塗りつぶしていく。
『……。』
集中すると目の前のこと以外が失念してしまいがちな性格も幸いしたのか…
この時すでに、頭の中からは"恋占い"というものは消え去り、ただ異様に長いシャープペンシルの芯を折らずに使い切ることだけを考えていた。
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