始まりは唐突に

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スマートフォンだ。 高校の入学祝いにと、母が悠斗にプレゼントした、悠斗が初めて持った携帯電話。黒と白の、落ち着いたトーンの色合いをしている。 その使い方を半日でほぼマスターした悠斗は、早速ネットに接続する。 「なんか面白いアプリないかなー?」 少し弾んだ調子で呟きながら、画面を操作する。 漫画やゲームをこよなく愛する悠斗にとって、携帯用のアプリケーションも楽しみの一つとなっていた。 およそ2日前に初めて触ったとは思えない、慣れた手つきでアプリを探す。 その時、一つのアプリが悠斗の目についた。 「……何じゃこりゃ?」 思わず、悠斗の声が漏れる。 そのアプリには、何の説明書きもなかったのである。 書いてあるのは、アプリの名前であろう 『WitchCraft』 という単語のみ。 もちろん、提供者の欄も真っ白だ。 見るからに怪しいアプリケーション。しかし、悠斗の知的好奇心はどこかおかしかった。 (……ダウンロードしたらこの携帯にウイルスとかに感染するのかな?でも、このアプリ、すげー気になるなあ……) 結局、悠斗はそのアプリをダウンロードする事にした。 選択画面には、やはりアプリの名前以外の言葉は書いていなかった。 それでも、彼は迷うことなく、 "download" と表示された画面を押した。 ダウンロードには、思ったより時間がかかった。
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