2人が本棚に入れています
本棚に追加
ぐにゃり、と視界が歪む。
足元がふらつき、よろめく。
と同時に、頭に鋭い痛みが走った。
「――っ!?」
思わず、手の中の缶を落としてしまう。
落とした際の快音は、悠斗の耳には届かなかった。
なんとか転ける寸前に上体をひねり、自動販売機にもたれ掛かる。
が、未だに視界の歪みと頭痛は引かない。
呼吸が乱れ、心臓が早鐘を打つ。
頭への刺すような痛みが、さらに増した気がする。
目の前の景色も、グルグルと回転しているように見えてきた。
(何だよ、これ……)
悠斗は、痛みを耐えながら、なんとかしようと画策する。
(あのアプリの音を聞いたから、こんなことに……?)
悠斗は、この時だけは自分の不注意を呪った。
時間が、やけにゆっくりと流れているように感じた。
やがて、頭痛は引き、視界も元に戻ってきた。
「……なんか散々な目にあったな……。」
ポツリと、悠斗は呟く。
頬を、嫌な汗が伝った。
最初のコメントを投稿しよう!