始まりは唐突に

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ぐにゃり、と視界が歪む。 足元がふらつき、よろめく。 と同時に、頭に鋭い痛みが走った。 「――っ!?」 思わず、手の中の缶を落としてしまう。 落とした際の快音は、悠斗の耳には届かなかった。 なんとか転ける寸前に上体をひねり、自動販売機にもたれ掛かる。 が、未だに視界の歪みと頭痛は引かない。 呼吸が乱れ、心臓が早鐘を打つ。 頭への刺すような痛みが、さらに増した気がする。 目の前の景色も、グルグルと回転しているように見えてきた。 (何だよ、これ……) 悠斗は、痛みを耐えながら、なんとかしようと画策する。 (あのアプリの音を聞いたから、こんなことに……?) 悠斗は、この時だけは自分の不注意を呪った。 時間が、やけにゆっくりと流れているように感じた。 やがて、頭痛は引き、視界も元に戻ってきた。 「……なんか散々な目にあったな……。」 ポツリと、悠斗は呟く。 頬を、嫌な汗が伝った。
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