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優羽のことを思い浮かべたとき、真っ先に浮かんでくる光景は、彼女が水中を、まるで本物の魚のように自由に動き回っている様子だ。顔にはキラキラとした笑みを浮かべ、楽しそうに泳いでいる君。
そして俺はそれをただじっと見ている。表情はぼやぼやしていて、ただじっと見つめている。
手が届くようで届かない、そんな距離にいる君と俺。
そんな光景。
もちろんこれは現実世界の話ではない。
俺の頭の中で睡眠中に繰り広げられた、空想の世界である。
けれども今思うとこれは、不安定で、不明瞭で、しかしながら確かにここに存在する、自分自身のようで。
ひとつ言えるとすれば、それを確かめる術がもうないということだけ。
そう、それだけ。
ねぇ、君に会うにはどうしたらいい?
もう一度会いたいよ──優羽。
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