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俺がまだ初々しい小学生だった頃、【ソイツ】は現れた。
あれは確か小学6年生の夏休み。俺は塾の合宿に行くために車で向かっていた。
塾の合宿といっても別に勉強する訳ではなく、ただただ遊ぶだけだ。
合宿場所である公民館は、山道をずっと上がった所にある。行けば見渡す限り、山、山、山だ。
「ああー!!しまったバスタオル忘れた!」
俺は忘れ物が多い。ゆえに、その頃付いたアダ名は『ボケ老人』ネーミングセンスは称賛に値する。
「はあ?あんたバカ!?もう知らないわよ!ま、風呂に入らないか、自然乾燥にするか、どちらか選ぶのね。ほんとバカ。」
『本当にウチの子かしら?』そう言って溜め息をもらした
これが俺の母親――――だと思う。認めたくはないが。精神的なダメージを、絶えず俺に与えてくる。
そうして車は公民館の駐車場に到着。
「ウフッ。今日はハンバーグなのに、残念ね。」
そう言い残して、母親は去っていった。普段は絶対にそんなの作らないのに。・・・・・・・・・・嫌がらせだ。
そして合宿場所である公民館に歩いていくと【ソイツ】は突然俺の後ろから大声で話しかけてきた。
「ようバルタン星人。」
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