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しばらく沈黙が流れてから、神様が口を開く。
「あなたの人生は、すごくつまらないものでしたね。」
「…そうですね。」
何も言えない。
確かに、何の楽しみもなく願いも叶わなかった私の人生。
だから、と神様は続ける。
「もう一度生きてもらいますよ。今度は出来るだけ楽しんでくださいね。」
「はい、頑張ります。」
そう答えると、神様は私を抱きしめてくれていた手を離して立ち上がった。
「さて! そうと決まればちゃっちゃと詳しい話をしちゃいましょうかっ。」
…そういえば、生き返ることについて何も聞いていなかった。
「ん、説明お願いします。」
「さってさてさて! どこまで話しましたっけ?
んー………。
……あれ?どこまででしたっけ?」
「私に愛情が足りないから異世界で生き返らせる、というところです…。」
あぁ…神様がまた神様らしくなくなってる。
でも、こっちの神様は可愛らしくて好きだ。
「それなら、まずはこれからあなたが生まれる世界について教えてあげます!」
神様がそういうと手に二つ折にされた大きな紙が顕れる。
「その世界には魔法があります!」
言うのと同時にババンと開いて見せてくれた紙には【魔法すごい!】とでかでかと書いてある。
「紙を出した意味は?」
「魔法というのはー、まぁ実際にあっちの世界で見て覚えてください!」
神様は私の言葉を無視して、説明にならない説明をする。
「……はぁ。」
「あとは…あぁそうそう!
あっちの言語知識だけは全部頭に入れといてあげますね。知識だけだから、ポンポン話せるようになるわけじゃないですけどね!」
「他には何かありますか…?」
「以上ですっ!」
胸を張って神様は断言する。
もう説明は終わりか。
……え、終わり?
「…少なくないですか?」
「え? 言いませんでしたか?
あたしは役に立ちません!って。」
神様はまたニコニコ顔で、小首をかしげる。
…可愛いのって得ですね。
そのせいで何も言う気が起きないし。
「それに、赤ちゃんからやり直すわけだから余計な知識はいらないでしょう?」
普通に生きてもらいますし、と神様は一人頷く。
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