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「もういいですよ…。そんな無表情で言われても、なんの説得力もないですよっ…。だいたい…あんなに大泣きしたのに、そのあとまた無表情になっちゃうし…。」
そう言って神様は床にのの字を書きはじめた。
「…………。」
…そこを突っ込みますか、そこを。
「あ、赤くなりましたねー。」
「…それより、加護について他にはないんですか?」
「あ、露骨に話そらしましたねー。
まぁ…いいですけどっ!」
神様はぐいっと反動をつけて立ち上がる。
「まぁ一応ありますよぉー…。治癒と浄化が使えますぅー。簡単に言えばぁー傷治したり、毒をけしたりぃー。あ、魔力っていうの使うらしいですけどぉー、まぁでも加護持ちは寝ればすぐ回復するらしいんでぇー。」
と神様はまだちょっと拗ねてるようで話し方にやる気がない。
…ん、あれ?
それは普通に使えそうな…?
「その加護は普通にすごいんじゃないですか…?」
「そうですかね? なんか地味じゃないですかっ?」
いや…髪が傷まないより良いと思う。
神様の判断基準がよくわからない。
「いえ、素敵だと思いますよ。」
「そうですかっ! そうですよねっ! 凄い加護ですよね!」
なにせ愛情の神様ですからね、とニコニコしている。
……まだやるか。
「はい、流石は愛情の神様ですね。」
「…ふへへ。」
褒められて嬉しかったのか、神様は蕩けたように笑う。
…神様可愛いなぁ。
しばらく神様を眺めていると、神様は突然我に返って真剣な表情になる。
「コホン…さて、これで説明することは全部終わりました。そろそろあなたには転生してもらいます。もう聞きたいことはないですか?」
聞きたいこと…聞きたいこと…。
「…あの、一つだけ言いですか?」
「はい、なんですか? 今ならあたしなんでも答えちゃいますよ!」
…もう真剣な顔崩れちゃってる。
まぁいいや。
「ありがとうございます。あの、神様の名前を教えてくれませんか? たしか、まだ聞いてませんでしたよね…?」
「…あ、あぁー。すみません、名前ないんです。あたし! 神様同士なら愛情のーとか勇気のーとか、担当の名称で呼べますから。」
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