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「…そうですか、残念です。」
なぜだか、少し泣きそうになる。
さっき大泣きしたばかりで涙腺が緩くなっているのかもしれない。
「んー…え、えっと、あれです! じゃああなたが付けてください、名前。あなたはあたしの最後の人…ですし!」
神様はちょっと考えた後あたふたと提案してくる。
…気を使わせちゃったかな?
「本当に、私が考えていいんですか…?」
「いいですよ? むしろ他に付けてくれる人いなさそうですし!」
「じゃあ…ちょっと考えますね…。」
ええと…。
愛情の神様だから…愛?愛とか使いたいような。
あとは…特徴? 無邪気? いやいやいや、神様だしそれはちょっと…あ、あ綺麗とか…?
あ、思いついた……いやでもこれは……良いのかな?
「……一応、思いつきましたよ。」
「おぉ! 早く早く! 教えてくださいな!」
「まなみ、です。愛に美しいって書いて愛美。」
「おー! 可愛らしい名前ですね!…ふへへ。」
神様がまた蕩けてる。
とにかく、喜んでくれたようで何より。
「愛美…愛美…ふへへ。
ん…? あれ? たしか、この名前って…。」
「あ、はい…私の名前でした。やっぱり自分の名前を付けるなんて失礼でしたか…?」
「いや、全然! 良い名前だなって思ってましたしっ! でも、あたしがもらっちゃっていいんですか…?」
神様は上目遣いで不安そうに人差し指同士でつんつんしている。
…流石神様、一々可愛い。
「はい、私はその名前なんだか苦手で…。良い名前なのはわかりますが私にはあんまりにも不釣り合いで……。初めて好きになれた人が名乗ってくれたら、その名前も好きになれるかなって…。」
私がそういうと、神様は顔を真っ赤にしてくねくねと激しく悶える。
「…?」
「そんな…淡々と好きだなんて…。
何でしょう初体験っ! 嬉恥ずかしいぃっ…!」
「…………。」
そう言われて、自分が言ったことの恥ずかしさに初めて気付く。
なんだか顔だけがすごく暑い、これはもう耳の先まで赤いんじゃないだろうか…。
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