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私は奴隷である、名前はまだない。
たしか、昔の小説にそんな台詞があった気がします。
私が生まれてからもう四年がたちました。
さっきも言った通り、私は今、奴隷です。
なぜそんなことになったのかというと…。
まぁ…最初から説明するのが一番早いのでしょう。
私は一般的な農村に生まれたらしいです。らしい…というのはちゃんと確認する前に私が奴隷になったから。
別に、子供を売りに出さなければならないほど貧しかった、というわけでもないと思います。
私が初めて目覚めた時、目の前にいたのは赤茶色の髪の男性…お父さんだったのですが、そのお父さんはたぶん、母親の方を向いて激しく怒鳴っていました。
「***********!******!」
聞き慣れない言葉、けれど知っている言葉…。
幸い…かどうかはわかりませんが、お父さんは繰り返し繰り返し同じことを言っていたので、神様に貰った知識を総動員してその言葉を理解しました。
理解しなかった方がよかったのかもしれないけれど…。
お父さんはこう言っていました。
「なんでこんな子を生んだんだ! こんな不吉な子を!」
正直、生まれてこなければよかった、と思いました。
だってそうでしょう?
こんなことを言われたらそう思いませんか?
そのせいかどうかわかりませんが、弱い私は現実から逃げるように、三歳頃まで寝ていることが多かったです。
三歳頃になると私は結構な速度で走れるようになり、言葉も意識せず自然に理解することが出来るようになりました。
…寝てた寝てたと言っても、いつまでも現実逃避しているわけにもいきませんし。
神様に楽しんで生きる、って言いましたし、その為の努力はしました。
あ…三歳児の走る速度は高が知れてる、と思うかも知れませんが私が驚くほど本当に速いんです。
この世界の人は皆そうなのかとも思いましたがそういうわけでもないようでした。
たぶん、原因は私に付いてる耳と尻尾。
私の顔の横には耳がなくかわりに頭の上に三角形のピンとした耳、尾てい骨の当たりから細長い尻尾が生えています。
…いや、正直驚きましたが魔法があるならそれもありなのかな、と。
神様も教えてくれればいいのに。
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