耳と尻尾と牙と角、それは奴隷。

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この体は思いの外便利であったみたいで、他にも視力と嗅覚と聴力がとてもいいです。 便利っていいですね。 それと、この時くらいには何故、私が不吉と言われるのかもわかってきました。 問題はさっきの耳と尻尾、あと黒髪のせいらしいです。 村の子供達が「この不吉の黒め!」とか「くそ獣人消えちまえ!」とか言ってたから間違いないと思います。 …そんなに耳と尻尾が嫌われるなんて思いませんでした。 初めて気付いた時、私はなんだか憧れていた猫みたいで素敵、だとかそんなことを思っていたのですが…。 まぁそれは置いておいて。 村の人達は皆カラフルでした。 髪はもちろん目もカラフルでなんと片方ずつで色が違う人もいました。 黒髪の人なんて一人もいなかったですし。 あ…もしかしたら、私の目もいけないのかもしれません。灰色の目の人も私以外には誰もいなかったので。 そういえば、魔法。 これについてはよくわかりません。 村の人とは全く話せませんし、魔法関係の本も村にはないみたいでした。 あ…でも、魔法について何もわからなくても、神様の加護は正常に働いているようでした。 お風呂という文化がないらしいこの世界でも、垢なんてつきませんし髪はサラサラで肌がモチモチなのはいいのですが…。 如何せん髪が伸びるのが本当に早いです。 早すぎです、生まれてから一回も髪が切れていないのもありますが、もう長すぎです。 身長の三倍近くあって邪魔で邪魔で仕方がありません、仕方なく首に巻くことでどうにかしていましたが。 そんなこんなで普通に暮らしていたのですが、四回目の誕生日をむかえた時、私にお迎えが来ました。 奴隷商人(?)さんです。 商人さんとお母さんの話を盗み聞いたところ、本来ならもっと早くに売られるはずが買手が全く見つからなくて仕方なく村に置かれていたらしいです。 商人さんは私をおい、と呼んで言いました。 「お前の値段は銀貨一枚だ。そしてこれから、お前は奴隷になる。」 …銀貨一枚はどのくらいの価値でしょうか? なんてどうでもいいことを考えてると、商人さんは私に飾りっけのない皮の首輪を付けて手足を縛り、馬車の荷台に突っ込みました。 そして、今現在の私に至ります。
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