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何となく、場の空気が重くなってしまった。
神様(?)はこうならないように、わざと明るく話してたのかもしれない。
…それにしても、出来れば消してあげたい、だなんて。
私の人生は神様に気を使わせてしまうほどひどいものだったんだなぁ…。
確かに父には殴られたり、根性焼きされたり、虐待まがいの暴行…あぁいや、虐待だったのかな? あれは。よくわからない。
でも絶食を強いられたわけじゃないし、体が痛かっただけだ。
友達もいなかったけれど、これは自分から避けてたから仕方がないし。友達がいなくても死にはしない。
他に何か悪いことがあったかと言われても、特に思いつかない。
私には友達がいなかった。
父親に虐待を受けてた。
けど、ただそれだけだ。
そんなに辛くない。
神様(?)はもっと辛い目にあった人くらい知っているだろう、新米であっても神様なのだから。
「ね、今何を考えてるんですか?」
考え事をしてるうちに、神様が今度は体ごと私の目の前に来ていた。
真剣な顔をしていてなんだかすごく神様みたい…。
「もしかして、自分は別に辛くなかったとか思っちゃってます?」
…思ってた、確かにそんなことを考えてたけれど、なんでわかるのだろうか。
「それは、神様ですから。それにずっとあなたを見てましたからね、それくらいならわかりますよ?」
そう言って神様は少し微笑む。
「ねぇ…? 現実逃避はやめて。辛かったら辛いでいいんですよ? 悲しかったら悲しいでいいんですよ?」
…そんなことを言われても今更そんなこと、もうわからない。なにせ死んでいるのだから、生きている時にもわからなかったことなのに。
「わからないかもしれないけれど、ちゃんと考えて。感情が麻痺してしまっていたとしても何も感じない、なんてことはあるはずないんだから。
愛情を感じるためにも、それは必要なことですよ?」
感情が麻痺…? 本当にそうだろうか?
そもそも私には麻痺するほどの感情があるのだろうか?
今にも死にそうというときに、何も感じなかった私に。
そもそも…
「…そもそも、私には感情なんてないんじゃないですか?」
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