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「そう、ですね…。」
俯いてしまって神様を直視できない。
今、顔を上げたら泣いてしまいそうで。
もう、一回指摘されただけなのに私の中で無理矢理押さえ付けていた感情が暴れている。
「泣いてもいいですよ? あたし、いつまででも付き合いますから!」
なにせ愛情の神様ですからね、とやけに神様は自分が神様であることをアピールしてくる。
…そのフレーズ気に入ったのかな?
思わずクスリと笑うと、涙も一緒に溢れてしまった。
「っ…うぁっ…すみ、ません……ちょっと…お願いします。」
私がそう言うと、神様は私を抱きしめてくれた。
思いっきり、泣く。
喉が痛くなるけど、泣く。
辛かった。悲しかった。
痛いのは嫌だった、怖かった。
迷惑がかかるかもしれないと思うと、友達もつくれなかった。
辛いだなんて誰にも言えなかった、お母さんだって辛いだろうし、お父さんにそんなこと言えるわけがなかった。
本当は警察にでもお父さんが私に付けた傷を見せればあの暴力が終わるだろうことは、わかってた。
でも、お父さんには捕まって欲しくなかった。あんな人でも実の父親で、そんなことになるのは嫌だった。どうしても本気で嫌いになれなかった。
死ぬ前に一回だけでもいいから、お父さんとお母さんと三人で笑いたかった。
くだらない冗談が理由だって、たまたま見てたテレビだって、理由はなんだってよかった。
ただ一緒に笑いたかった。
一瞬でも、一緒にいれて幸せだと、思いたかった。
もうその願いは絶対に叶わない。
どのくらい泣いていただろうか。
嗚咽もなくなり落ち着いた頃に、私から話しかけた。
「…ありがとうございました。」
「いえいえ、もう平気ですか?」
「はい、おかげさまで。」
それはよかった、と神様はニコニコ顔になる。
やっぱり、癒されるなぁ…。
その顔を少しの時間ながめてから、もう一度私から話しかける。
「私、本当に死んじゃったんですね…。」
「はい、死んじゃいました…。」
最初は適当に受け取った言葉。
今度はきちんと実感をともないながら受け取る。
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