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「ハハハハハハ!!!!」
タンッ
と
ルディの足が勢いよく地を蹴った。小さな身体は、ゆっくりと後ろに倒れる。
背中を支える物等ない。行き着く先等無い。けれど、やっと開放される。
ルディは笑みを浮かべたままゆっくりと目を閉じた。
ザワつく声は、すぐに遠くなった。
リキは僅かに目を見開くと、直ぐさまその後を追い飛び込む。ほんの少しの躊躇いもなく。そして落ちていく主を止めようと手を延ばした。
もう少し、
もう少し、、
やっとの思いで主の手首を掴むと、リキは己の元に引き寄せて掻き抱き、体を反転させた。
自らの身体を盾にする為に。
焦る天使達の声が聞こえる。
(追える筈等無い。天使の翼を持っても…)
この先は人間界。
魔力・霊力が恐ろしく乏しい場所。
下級の天使達の翼では、無事に辿りつく事等出来ないだろう。
ましてや飛び降りる度胸等ある訳はないと高をくくっていた。
(…こう言う時は、たしか…)
「…ザマアミロ、"雑魚天使共"…」
既に意識を手放した愛おしい主を腕に抱いて、ただ一人信じる者が口にした言葉を真似てみながらリキは小さく笑った。
(死なせない)
そう固く心に誓って。
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