人魚姫

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だけどあの人魚(こ)はいったんだ “私はもう充分恋をしたから” 精一杯の笑顔 がんばって こらえた涙は 滝のように流れ 海に一雫ずつ…静かに落ちる 音も立てずに海にそっと 私もこの涙のようにそっと 静かに 海にかえっていく私 きらきら輝く 泡が足元に もうすぐ泡となって私の体も… さいごに出せない声で精一杯いうよ 「ありがとう」の言葉と「さようなら」の言葉 私の精一杯の気持ちと声で…届け。
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