神の間

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「あぁ…得に、あの明と言う小僧は、なかなか面白い。今回の企画の優勝候補かもな…」 これは天界の主神と魔界の主との対談。どうやら今回の主催はこの二人のようだ。 ルシファは指をパチンとならし、床に明の映像を映し出す。 どうやら本来の姿ならばハンカチで磨く必要はないらしい。 床に映し出された明はルシファがルシエルの時に作り出した下界千里鏡を眺め、決意に満ちた目で自分の葬儀を眺めている。 どうやら母か父の泣いている姿でも映し出されたのであろう。 時折、涙を浮かべ鼻をすする姿も見える。 「おいおい。泣いてるぜ… 親が悲しんでる姿でも写っていたのかねぇ。 本来なら債の川原行きだぜ。」 「馬鹿者!滅多なことをいうでないわ! ルシファよ!」 明の姿を楽しそうに笑うルシファに神は一喝を入れる。 神はルシファとは別の視点で明を見ていた。 呪術により天界へ送られた無念の魂なのだから仕方のない。 本来ならば何もかも諦めて天界へ歩もうとするか天界から脱走し、地縛霊になってもおかしくない魂なのだ。 だが明の瞳はそのどちらでもない。 『生へのチャンス』 それも大好きな冬子と共に得られるやもしれないチャンスを前に死してもなお、希望を絶やさない瞳をしていた。
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