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「おぉ!」
そう叫んで私に抱き着く黒猫さん。
苦しい。
けど無理に引きはがそうとしようものなら4倍くらいの力でまた抱き着いて来るので何も抵抗せずに受け入れる。
「んん。相変わらず巫女服に黒髪ストレートくりっくりの黒いお目目にちっちゃい体躯猫っ毛さらさら女子高生、巫女枝宮子(みこのえ みやこ)ちゃんはかぁわいいなあ!」
「説明ちっくな褒め言葉をありがとうございます黒猫さん」
さらっと黒猫さんの言葉を流し、流しついでにその両腕から逃げた。
彼女は、十三階堂黒猫(じゅうさんかいどう くろねこ)。
黒猫という名前に反した美しく、セミロングくらいに整えられた銀髪。
すらりと伸びた長い足に、豊満な乳房(「Hはあるぞ」と言っていた)。ぴしっと決まった黒のスーツに銀髪が映え、女の私ですら惚れかねない美貌を持つ。
更に彼女は濃厚な人物であることをお伝えしておこう。
彼女は、警視庁特別参謀かつ、殺人鬼殺しと呼ばれる裏世界の大物で、名のある暗殺一家を暗殺せしめる害悪であり、妖怪奇怪どんなものだって有象無象の平々凡々に雲散霧消させ、超能力者の超能力大戦を前線で戦い、果ては宇宙人と交流があるという(全て自称である)、私立探偵だ。
この中で、至極目の細かいざるで濾して濾して、唯一残る信用の効く情報といえば、異常なコネクションと馬鹿力くらいだ。
と、私も説明臭いモノローグで抵抗してみた。
あ、あと、付け加えることがあるのだが、ああ、だけれどこれはまあいいや。
どうせ後で説明するだろう。
「薬師神いる?薬師神一時(やくしじ ひととき)さん」
不意に黒猫さんが私に問う。
「社務所で本の虫してるか寝てるかですね。本の知識と勘の良さしか取り柄が無いような人ですし。ああ、あとどこでも寝られますね」
私がそういうと、「相変わらず薬師神には厳しいねえ」と、目を細めて彼女は笑った。
「あ、安心して。私レズビアンだから」
「何を安心するんですか!!勘違いも甚だしい!」
「私の狙いは宮子ちゃんだけだから」
「蠱惑的過ぎる暴露ですけど私はノーマルですから!」
正直に言うけれど私は彼女に軽く百回は襲われかけている。
しかも魅力的に蠱惑してくるものだから危うく陥落しそうになるのだ。
その時ばかりはあ、もう捨てて良いかも。等と思わせるのだから恐ろしい。
「かかっ。まあいいやね。社務所ってどっちだっけ?」
ああ、もう。可愛いなあ。何度目だよ神社来るの。
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