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きょろきょろと辺りを見回す黒猫さんに、こっちですよと道を示し社務所へ向かう。
して、社務所前。
うちの鎮守の杜(神の御座す森である)はほかのそれに比べかなり鬱蒼としている。
気味が悪いのだ。
なぜかは知らないけれど。
いやもう私は鎮守の杜ででかいかまどうまを見たときは泣くかと思った。
そうだ。気味が悪い8割は虫にある。
そんなことを考えていると、何も遠慮することなく、遠慮なんて知らないんじゃないかと言うくらい思い切り引き戸を開け、
「やくしじいいいいいい!!」
と、黒猫さんが叫んだ。
神の社をなんだと心得ているのか。
いや別にいいけど。
黒猫さんに続いて中に這入り(順番がおかしいがそれが黒猫さんだ)、一段上がった先の----黒猫さん靴脱がないのか----、黒猫さんが襖を開けた。
もわん。
鼻を突く煙草の臭いと煙が一気に噴き出して来る。
煙草も吸ってお香も焚くものだから、薬師神のいる社務所の一室はいつだってひどい臭いがする。
わかるだろうかこの臭いの凄まじさ。
一貫して煙が苦手な人間からしたら正に地獄である。
煙草を吸う友達がいたら試してみるといい。
恐ろしい臭いに包まれて帰ってから服の臭いを嗅いで意気消沈すること請け合いだ。
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