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「ま、それは君の"現象"だからね。受け入れるしかないさ」
からからと、薬師神が笑った。
"現象"。
辞書を引いてみれば。
げん-しょう [現象]
人が観察できる形をとって現れるすべての物事。
本質に対して、表面的に現れた事柄。
とのこと。
薬師神一時は現象を語る。
異名を二つ挙げるなら"現象語(げんしょうがたり)"、"二重書庫"
この"現象語"の方は、"二重書庫"ありきの異名だ。
彼は手に入れられる情報であれば手に入れられる限り手に入れなければ気が済まない。
そういう"能"であり、そういう"脳"なのだ。
彼を彼たらしめる物そのものがそうなのだから、彼のその性癖は変えられない。
好奇心擽るもの、素晴らしいもの、恐ろしいもの、おどろおどろしいもの、感極まるもの、頬染めるもの、怒り覚えるもの、狂えるもの。
利己的、啓発的、哲学的、数学的、文学的、本格的、天才的、衝撃的、圧倒的、感動的。
なんだってよいのだ。
彼にとって面白ければ、なんでも。
彼は吸収できればいい。
"脳"に"能"として記憶するに値する面白きものならば、例えどんなものでも。
そう、オカルトであれ、ミステリーであれ、未確認であれ、不確定であれ。それらを、くだらないと吐き捨てるつもりはない。悪魔の証明なんてバカだって知っている。
何せ、私だって、経験したのだから。
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