観光

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「―――そういえば社長、あの土地どうしたんですか?」 「ん?ああ、あれね。ちょっとした縁で高値で引き取ってくれる人がいてね!本当に助かったよ~」 「良かったですねー!確か今どき電波も届かないような辺鄙な場所だったとか……」 「……まぁね、高速が出来る予定地の近くだから先代が買ったのは良かったけど、政権交代してからはねー?期待出来ないでしょ、それに不景気も手伝って……長閑さは素晴らしいんだがね、それだけだよ」 「確かに。一度興味本意でネットの衛星であたりを見たんですよ。そしたら近くの町まで結構あるし、その町も小さいんで驚きました」 「ふふ、トモ君も随分暇なんだね?」 「いやいや!仕事中じゃありませんよ!決して違う!」 「必死になるところが尚更怪しいねぇ?」 「違うんですよ!実はね、情けない話で嫁さんにどっかに連れていけってうるさく言われてまして、ふと社長の持ってらした土地を思い出したんですよ!」 「んー、そうなんだ……言っておくけど行かない方がいい。何もない上に閉塞的な町だからね、土産も特産品もない、悪いことは言わないから行かない方がいい」 「そうですかぁ、たまにはのんびり人混みから離れるのもいいかと思ったんですけど……」 「とにかく止めておきなさい!いいかね?年長者の言うことは聞いておくものだよ!!」 「っ!!は、はい」 「仕事は終わったんでしょう?ほらもう帰りなさい!!」 「し、失礼しました!!」 「トモ君、絶対に行ってはいけないんだよ……私もそろそろ――― .
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