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いつか、この日が訪れることは、覚悟していた。
「ママ・・・」
由紀菜(ユキナ)の母親が倒れてから、もう4年の歳月が流れていた。
癌に身体を蝕まれ、長いこと苦しんできたが、ついにその苦しみから解き放たれた。
「長い間お疲れ様・・・」
覚悟はしていたが、やはりたった1人の家族を失った悲しみは計り知れないほど大きい。
「お前もよくばんばったよ」
まだ立ち上がれないでいるユキナの頭を優しく撫でるのは、幼なじみの陣。
陣にとっても、小さいころから可愛がってくれていた人との別れだった。
「ありがとね」
ユキナには父はいない。
生きているのか、死んでしまったのかも知らない。
母親に聞いても、いつもはぐらかされてしまっていた。
祖父母も親戚もいない母親は、1人でユキナを産み育て上げた。
大人の事情をなんとなく察し、ユキナも深くは追求しなかった。
これからは、たった1人の生活が始まる。
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