第1部

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ママが亡くなってから、3ヶ月があっという間に過ぎた。 元々、ママは長いこと入院していたので、一人暮らしには慣れてる。 天涯孤独ってのは、なんていうか、虚しい…。 ただ、ママの意向で大学だけはちゃんと卒業しなきゃ。 「ユキナっ」 帰り道、幼なじみの陣(じん)が当たり前のように待っていた。 陣は小さいころから仲良しの男の子。 兄弟のいないあたしにとって、お兄ちゃんみたいな存在。 「いつも送ってくれてありがとね」 「別に、1人で帰るのつまんないから、ただそれだけだよ」 「たまには、女の子とデートでもすればいいのに」 あたしがそう言うと、陣はポッと頬を赤くする。 「そっ…そんな相手いねーしっ」 「えー。この前告白されてた子はどうしたのよ?」 ニヤニヤ。 「あ、あの子はその・・・」 「あたしのことばかり気遣ってくれるの嬉しいけど、陣は陣の生活あるんだから、さ」   
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