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「お前はそんなこと気にしなくていいのっ!」
パカンと後頭部を軽く叩かれる。
「いたっ」
「ユキナは自分のこと考えてろ」
これが陣なりの優しさなのは、わかってる。
すごく嬉しいんだけど、陣のこと大切にしたい。
だから、せっかく彼女できるチャンスなんだから、逃して欲しくない。
「それに、オレ女と付き合ったことねーから、よくわかんねーし」
中学、高校とサッカー部で遊ぶ暇のなかった陣。
「女の扱い方とか、なんか難しい…」
「えー。あたしとは毎日一緒にいるじゃん」
「お前は女の内に入らないだろ」
パカンっ。
今度はあたしが陣の後頭部を叩いた。
「ムカつく」
「女は頭叩いたりしねーだろ…」
ふんっ。
そんなくだらないやり取りをしている間に、駅に着く。
いつものように定期を出し、ホームに向かう。
「オレ今日バイトだから、ここまでだ」
夜、居酒屋でバイトしている陣は、立ち止まり手を振る。
「あ、そっかぁ。頑張ってね」
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