1.臨時教師

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彼女と知り合ったのは夏。 蝉が儚い命を燃やして鳴く、盛夏の頃だった。 「新しい先生来てんぞ」 そう騒ぐ同級生の声も、蝉と同じく煩わしいだけ。 「美人かなあ」 前の席の珱美がにやにやして俺に振り向く。 「俺達受験生の癒しになる先生ならいいけどなー」 「誰でもいいよ、大差ない」 病欠中の担任の代理が、今日からやってくると聞いていた。 朝からクラスの話題は、それで持ち切り。 「里田が見かけたらしいけど、結構若いらしいぜ」 「マジかよ」 「飯田と柴田ってば。あいつら、そんなことしか頭にないのー?」 騒ぐエンゲルとハッチを睨みつけながら、麻紀が俺の机の横に立つ。
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