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「ね、圭吾。今日の帰り付き合ってくれない?」
「どうして」
彼女の顔を見ずに、問い返す。
「参考書探しに行きたいの。いいでしょ?」
媚びた声に、俺は気乗りしないまま答える。
「いいよ」
「やった」
弾む麻紀の声。
会話をしつつも、俺はまだ顔を上げない。
「麻紀、用事済んだらさっさと席へ戻れや」
俺の気持ちを代弁するかのように、珱美が言う。
「何よ、珱美」
「見てわからないか?」
数学の教科書問題の解答をノートに綴る俺にようやく気付いてくれたのか、麻紀は口をつぐむ。
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