1.臨時教師

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「ね、圭吾。今日の帰り付き合ってくれない?」 「どうして」 彼女の顔を見ずに、問い返す。 「参考書探しに行きたいの。いいでしょ?」 媚びた声に、俺は気乗りしないまま答える。 「いいよ」 「やった」 弾む麻紀の声。 会話をしつつも、俺はまだ顔を上げない。 「麻紀、用事済んだらさっさと席へ戻れや」 俺の気持ちを代弁するかのように、珱美が言う。 「何よ、珱美」 「見てわからないか?」 数学の教科書問題の解答をノートに綴る俺にようやく気付いてくれたのか、麻紀は口をつぐむ。
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