日常を破壊する音は鳴らない

4/27
前へ
/45ページ
次へ
僕は子供の頃からどちらかというとイジメられるタイプだった 喧嘩が弱かったわけではない むしろ喧嘩すれば勝つことの方が多かった だが、とある“事情”が有り、僕は喧嘩――特に殴り合いの喧嘩を避けてきた その結果、大人しい僕はイジメられ、サキが僕を助けるという構図が昔からの常だった 僕は顔を上げた 刹那、日光で干した毛布に包まったような心地の良い香に包まれた そして僕の視界の八割がサキの顔で埋まる .
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加