日常を破壊する音は鳴らない

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端正な顔立ち、ハリのある肌、澄んだ瞳……クラスのアイドル格にありながらリーダー格もやってのける だがそれ故に女性らしさが部分的に欠けている彼女が僕は昔から苦手だった そんな彼女の顔が眼前にある状況が少しいずらかった僕は、席を立ちそのまま教室をあとにしようとした 「何処に行くのよ?」 サキが制止を促す それに対して僕は振り返ることなく一枚の紙切れをひらつかせる 手の平サイズでくしゃくしゃにされていたその紙には細かい文字で10個程食べ物の名前が書かれていた 「買ってくる」 「パシリなんてやめなさいよ」 そう、この紙はさっき上級生達に密かにかつ無理矢理握らされた“お買い物リスト”だった 「平穏な高校生活のためだよ」 「パシリが平穏な高校生活なの?」 「暴力沙汰になったり問題になるよりかは平穏だよ」 .
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