遠征“D” 裏切り者は必要

32/49
前へ
/2583ページ
次へ
更に数分後。 「ちょっと皆が見てるじゃない!早く降ろして!」 のんびりと歩み寄る男女ダイスとルナ。否、正確にはルナは“歩いていない”。重力に逆らい、まるでシャボン玉のように“浮遊”してこちらに来ているのだ。 抉られた肩部の治療を施し、発達した再生力で血は止まっているものの、完治まではもう少し時が必要だった。 その怪我人ルナの体を配慮したダイスの“チカラ”故に彼女は浮いていたのだ。 「きゃあっ!」 チカラは解かれ、無様に尻をついてしまう。その光景にエタニティ側は唖然としていた。何故ルナは浮いているんだ、そういった表情を浮かべて。 「もう!何なのよあなたのアンノウンエナジーは!!」 「説明めんど…………スペード」 アッシュの髪を掻いて、緊張感の欠片もないこの男はスペードに説明を託す。自身は大欠伸の後にコンクリートの地面に寝そべった。 「それぐらい自分で説明しろ」 と返すスペードだが、長い付き合いで無理だと悟ったのか、徐に口を開いていく。
/2583ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2192人が本棚に入れています
本棚に追加