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俺は、それとない感じに相向かいの部屋の扉の前に立ち、ドアノブに手をかける。
「入るぞ。」
部屋の主は知っている。
この家は俺の家だが、いるのは俺の家族みたいな家族じゃない存在だ。
「ん?」
部屋の主は美川諏里(みかわしゅり)。俺の幼なじみで、クラスでも、ほんの少しおしとやかなイメージの女の子。
そして、今。
スカートを履こうと、下着姿で手をかけている所である。
「あ……悪ぃ。」
間違えたわ。と言わんばかりに、それとなくバッドタイミングを回避しよう。
「こらっ!」
――ミッション失敗。――
なぜが折り畳み傘が飛んできて、額に直撃した!
「づぁっ……!!」
痛みをこらえながら、戸を閉めた!
ゴツンと音がした辺り、追撃は回避!
(あ、あぶねぇ……危ない刑事くらい、あぶねぇ)
恐らく48のダメージを受けた。
勇者じゃないので、先程の追撃を受けたら恐らくピリオドだ。
「入る時はノックしなさい。」
特に激怒の様子もない落ち着いた声が返って来る。
俺がノックしないのは日常茶飯事だが、恐らく諏里は怒っている。
諏里はそう言う女だ。
昔からどこか落ち着いている。
ある時を除いて……。
とりあえず、出てきたら潰されそうなので、謝る。
「すまん!ワイシャツ引っ掛けた。直してくれ。」
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